résumé 1970-2016

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analogue

安堵して微睡むわたしの胎を
やさしく摩るあなたの手

見つめあい微笑むわたしの頬を
そっと掠るあなたの手

重ねては微かになぞるわたしの手を
柔らかになぞり返すあなたの手

顔を傾けはらりと落ちるわたしの髪を
細やかにかき上げるあなたの手

抱き合って出逢うわたしの首筋を
快い熱と力で覆いつくすあなたの手

内奥に熱を帯び 時に力強い
あなたをいつも思い起こさせる
わたしの愛するあなたの手



by murasakitsukumo | 2005-07-31 00:18 |

月光~LUNA

月の光が照らすのは遠い遠い記憶
別々の時のなかに 同じ想いが照り返る
そうして ふたりは
こうして 長い時を経て
ここで いま 出逢った

月の下で あなたと語り
月の下で あなたと愛し合いたい
青い光は閉じた瞳に静かに降り注ぎ
ふたりを最も美しく浮かび上がらせるから

ぴたりと合わさったふたりの影は
あのルナのなかに映写される豊饒の海
あなたとわたしが見つけた
ふたりだけの月光



by murasakitsukumo | 2005-07-30 23:22 |

Summer Songs

嵐の夜には
真夏の狂気がよく似合う
激しさと穏やかさの振幅が
変調しながら奏でる
ディヴェルティメント

いつもより 
  汗ばむ夜の
    短すぎる乱舞

夏の嵐を讃えるオーケストラ
急くように絡み合う熱情に
遠い民族の音が重なる
狂喜のリズムと噎せ返る呼吸
浮かれた精神と濡れた肉体

熱病と紛う
  恋という名の
    真夏の狂気



by murasakitsukumo | 2005-07-27 01:03 |

LES AMOUREUX

この世で出逢ったふたりの輪郭を
やさしく彩るパステルの細い線
あなたは目を閉じ
わたしも目を閉じている
他のどこにもふたりの居場所はないと
こころの底から信じられるほどに
穏やかで静かな抱擁
ふたりの貌には法悦の笑みだけが浮かび
恐れも疑心も憎しみも
あらゆる苦痛は消え去っている
そっと抱き寄せあう腕の中
ここがふたりの探していた場所であると
パステルの線はそっと語りかけている

出逢ったことに意味がないならば
色はこれほど鮮やかにふたりを描けない
愛の泉がいつか涸れてしまうなら
たとえ一瞬でもこれほど潤う時は訪れない

なぜ ふたりは出逢ったのか
その美しい謎のすべてが
このパステル画のなかにある
この細い線に守られた
慎ましい静寂のなかにある

わたしはただ
あなたの名を呼び 涙する
この謎の美しさに圧倒されて
わたしはただ涙している



by murasakitsukumo | 2005-07-23 00:05 |

振動

書かれた文字に涙し
交わされる会話に胸躍らせ
けれども
いちばんの饒舌は
言葉と出会う前の息吹のなかに
切なさに洩れる溜息のなかに
愛しさに溢れる吐息のなかに

噛りついた耳元へ
ひそかな音をともない
かすかな熱をともない
わずかな湿りをともない
届けたい 想いのすべてを
伝えたい 捕らえて放さぬ欲望のすべてを

言葉でないなら
たがいを傷つけることなく
誤解を恐れることなく
ただ混沌に身を任せられる
すべてが夢だと気づく前に
朧朧と長い夜に溶けてしまえる

饒舌な振動よ
わたしが言葉を失っても
褪せぬ想いを届けてくれるか
生れたままの情熱を伝えてくれるか
永遠に 
わたしが消えてしまっても



by murasakitsukumo | 2005-07-20 17:38 |

煉獄

地底に隠れた激情が
今宵 その姿をあらわすとき
世界の色彩は反転し
形あるものすべてを焼き尽くす
岩の表より迸り 立ち昇る真っ赤な火柱
二つの魂を巻き込んだまま
うねりの韻律が加速する
小刻みすぎる痙攣が
いつしか安寧に変わるまで
畏れずとも奢れるな
激しすぎる炎は
かならず天上の怒りに触れるから
奢れずとも怯えるな
肉を焦がす焔こそが
この世の真実を炙り出すから



by murasakitsukumo | 2005-07-20 15:23 |

anonymous

あなたが誰であっても構わない
どこにいようと
どんなことをしていようと
どんな名前であろうとも

あれを好きで これを嫌いでも
どんな身なりをしようと
何を読んでいようと
誰を愛していようとも

ほんとうに構わないのです
あなたという存在から放たれる輝きが
わたしの足元を照らしてくれるならば

あなたという存在の帯びる灼熱が
この身を焼いてくれるならば



by murasakitsukumo | 2005-07-18 11:09 |

synchronicity

わたしが深く息を吐くと
どこかで深く息を吸い込む人がいる

わたしが遠くを見やると
どこかでこちらを見つめる人がいる

わたしの胸がチクリと痛むと
どこかで胸に手を当てる人がいる

わたしの瞳が濡れはじめると
どこかでハンカチを出す人がいる

わたしが詩を書いていると
どこかで詩を書いている人がいる

わたしが銀の首輪を噛みしめると
どこかで首に痣のできる人がいる



by murasakitsukumo | 2005-07-17 00:10 |

薔薇の刻印

薄い皮膚に咲いたいくつもの薔薇
紫の花びらを美しく誇りながら
毎日少しずつ形を変えるだろう
わたしの内にも熱い血が流れていることを
毎日想い出させてくれるだろう

いずれ朽ちる運命でも
印された豊饒の一瞬は永遠に残り
花ひらくことの痛みと悦びを
永久に思い知らせるだろう

吸い取られた美しき魂よ
あの人の血となれ 肉となれ
残された薔薇の陰翳は
やがて遠い夢のなかに映りこみ
むせるような馨しさとともに
あの人の唇を塞ぐだろう
あの人の閉じられた瞼に
やさしく降り続くだろう



by murasakitsukumo | 2005-07-15 01:19 |

踏絵

もし あなたの
多くを見る目が何も映さなくなっても
繊細な耳が美しい調べを宿さなくなっても
わたしを抱く逞しい腕がもげてしまっても
自由に飛び回る足が萎えてしまっても
穏やかなその顔に残酷な傷を負っても
この世界を把握する意識が不明になっても
ふたりの過去をとどめる記憶がなくなってしまっても
身体のあらゆる部分がぴくりとさえ動かなくなっても

それでもわたしは
あなたを変らず愛するでしょう
あなたのその目 耳 腕 足 顔 頭
あなたのすべてを愛しているけれど
もしそれがなくなってしまっても
それでもわたしは
あなたを変らず愛するでしょう

すべての肉体をなくしても
きっとあなたの魂は残るでしょう
あなたがあなたであるところの
あなたの魂をわたしは愛しているのです



by murasakitsukumo | 2005-07-13 03:17 |

L'ame aussi,si elle veut se reconnaitre, devra regarder une ame (Platon)
by murasakitsukumo
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