懺悔
重い罪を背負い
わたしは自由にはならない
わたしの薄い肩には重すぎると感じられても
それは その罪が犯される以前から
ずっと重くあったのだ
いつか許されるのなら
それは罪とはいわない
自由意思で背負うと決めるなら
それは罪とはいわない
罪はわたしを決して放さない
だから
わたしは懺悔もできない
わたしは自由にはならない
わたしの薄い肩には重すぎると感じられても
それは その罪が犯される以前から
ずっと重くあったのだ
いつか許されるのなら
それは罪とはいわない
自由意思で背負うと決めるなら
それは罪とはいわない
罪はわたしを決して放さない
だから
わたしは懺悔もできない
▲
by murasakitsukumo
| 2005-06-30 08:51
| 詩
引き攣れ
彼女の心には
欠けているものがありすぎる
憎しみがない
羨望がない
野心がない
嫉妬がない
後悔がない
憤怒がない
彼女の心には
人間らしい情熱がない
透明すぎる輪郭は
無味無臭の物体をやり過ごし
大きすぎる編み目は
こまかい情けの粒粒を
掬ってやることもできない
彼女の心には
人間らしい情熱がない
あの真っ白に引き攣る月のように
冷感と倦怠だけが
表面に浮かんでいる
欠けているものがありすぎる
憎しみがない
羨望がない
野心がない
嫉妬がない
後悔がない
憤怒がない
彼女の心には
人間らしい情熱がない
透明すぎる輪郭は
無味無臭の物体をやり過ごし
大きすぎる編み目は
こまかい情けの粒粒を
掬ってやることもできない
彼女の心には
人間らしい情熱がない
あの真っ白に引き攣る月のように
冷感と倦怠だけが
表面に浮かんでいる
▲
by murasakitsukumo
| 2005-06-29 17:52
| 詩
献身
あなたにすべてを与えたい
わたしの心をではなくて
そんな小さいものですらなくて
わたしの存在から迸りでることをやめない
愛のすべてを与えたい
あなたに
あなたに何もかもしてあげたい
わたしにできることの限りを
ときにはあなたのすぐ隣で
そうでなければ時間と記憶の彼方から
わたしの小さな手が紡ぎだす
行ないの限りを与えたい
あなたに
わたしのうちに溢れる愛の天使たちを
あなたのもとに届けたい
わたしの心をではなくて
そんな小さいものですらなくて
わたしの存在から迸りでることをやめない
愛のすべてを与えたい
あなたに
あなたに何もかもしてあげたい
わたしにできることの限りを
ときにはあなたのすぐ隣で
そうでなければ時間と記憶の彼方から
わたしの小さな手が紡ぎだす
行ないの限りを与えたい
あなたに
わたしのうちに溢れる愛の天使たちを
あなたのもとに届けたい
▲
by murasakitsukumo
| 2005-06-29 00:53
| 詩
美しい人
その美しい人は
これ以上ないほどエレガントに
わたしの前に現れた
短すぎる時
曖昧すぎる会話
美しすぎる出会い
その美しい人は
臆することなく あまりに自然に
わたしの前に現れた
ただの偶然
ただの気まぐれ
ただの勘違い
愚かなわたしは
その美しさに怯えて
逃げるように去ってしまった
これ以上ないほどエレガントに
わたしの前に現れた
短すぎる時
曖昧すぎる会話
美しすぎる出会い
その美しい人は
臆することなく あまりに自然に
わたしの前に現れた
ただの偶然
ただの気まぐれ
ただの勘違い
愚かなわたしは
その美しさに怯えて
逃げるように去ってしまった
▲
by murasakitsukumo
| 2005-06-29 00:52
| 詩
Cocoon
ふたりは語らう
雑音を吸収する毛羽立つ繭の密室で
ふたりは接吻する
キラキラの絹糸の天蓋に覆われて
ふたりは抱きしめ合う
柔らかな乳色の球形にピタリと身をおさめて
静寂
安らぎ
優雅
やさしさ
純粋
温もり
尊さ
湿り気
そして烈しい愛
ふたりのお気に入りのすべてが
この繭のなかにある
雑音を吸収する毛羽立つ繭の密室で
ふたりは接吻する
キラキラの絹糸の天蓋に覆われて
ふたりは抱きしめ合う
柔らかな乳色の球形にピタリと身をおさめて
静寂
安らぎ
優雅
やさしさ
純粋
温もり
尊さ
湿り気
そして烈しい愛
ふたりのお気に入りのすべてが
この繭のなかにある
▲
by murasakitsukumo
| 2005-06-29 00:50
| 詩
徴
目の前に居る人
そこに居る間に
すべてを心と体に刻みたいと思うのに
時が残酷に 急いで流し去ってしまう
確かなものは何?
隙間だらけのシナプスに苛立ち
あわてて追いかける可哀想な記憶
求めて得られたものは何?
手に入るものに価値などなく
幻にほんとうの美しさをみる
過ぎた時間を物語るのは
虚しい心の嘆きと
体の奥に残る存在のカケラ
確かに ここに
あなたは居たはずなのに
そこに居る間に
すべてを心と体に刻みたいと思うのに
時が残酷に 急いで流し去ってしまう
確かなものは何?
隙間だらけのシナプスに苛立ち
あわてて追いかける可哀想な記憶
求めて得られたものは何?
手に入るものに価値などなく
幻にほんとうの美しさをみる
過ぎた時間を物語るのは
虚しい心の嘆きと
体の奥に残る存在のカケラ
確かに ここに
あなたは居たはずなのに
▲
by murasakitsukumo
| 2005-06-26 11:32
| 詩
秘事
しめやかなる宵の饗宴
清められたる薄化粧の華
どうぞ 貴方のお気に召しますように
美酒は尽きることなく
しとど涌き出で
貴方は酔うにまかせて
われを飲み干す
この宴の招かれ人は貴方おひとり
闇に閉ざされし鉄格子の窓
誰かうちなる秘密の享楽を知らん
清められたる薄化粧の華
どうぞ 貴方のお気に召しますように
美酒は尽きることなく
しとど涌き出で
貴方は酔うにまかせて
われを飲み干す
この宴の招かれ人は貴方おひとり
闇に閉ざされし鉄格子の窓
誰かうちなる秘密の享楽を知らん
▲
by murasakitsukumo
| 2005-06-25 02:17
| 詩
恋文
涙に暮れる 逢魔が時に
届いた 貴方からの恋文
涸れたはずの涙は
喜びとともに再び溢れだし
わたしの魔物を押し流しゆく
清らかな夜よ
絹のようにそっと滑り込め
魔物が明渡したわたしの内へ
愛しい貴方の陶酔のまなざしが織りなす
絹のような夜よ
そしてわたしは蝋燭を灯す
赤い焔は貴方の書斎を照らし
わたしの恋を
その壁に影絵のようにゆらめかせ
貴方をそっと見守り
そっと語りかけるように
届いた 貴方からの恋文
涸れたはずの涙は
喜びとともに再び溢れだし
わたしの魔物を押し流しゆく
清らかな夜よ
絹のようにそっと滑り込め
魔物が明渡したわたしの内へ
愛しい貴方の陶酔のまなざしが織りなす
絹のような夜よ
そしてわたしは蝋燭を灯す
赤い焔は貴方の書斎を照らし
わたしの恋を
その壁に影絵のようにゆらめかせ
貴方をそっと見守り
そっと語りかけるように
▲
by murasakitsukumo
| 2005-06-24 11:15
| 詩
病巣
せつなくて せつなくて
あまりにせつなくて
この胸をナイフで切り裂きたい
このなかに一体何が巣食っているのか
それは血みどろの柘榴か
あるいは
血の気を失った青色のダイヤモンドか
せつなくて せつなくて
ただせつなくて
わたしは 息も絶え絶えの
瀕死の白鳥のように
打ちのめされて 首をうなだれ
地の一点を見つめたまま
凍りつくしかない
せつなさよ
胸に巣食う病魔よ
容赦のないその横顔に
やさしい笑みが浮かぶ日はくるのか
あまりにせつなくて
この胸をナイフで切り裂きたい
このなかに一体何が巣食っているのか
それは血みどろの柘榴か
あるいは
血の気を失った青色のダイヤモンドか
せつなくて せつなくて
ただせつなくて
わたしは 息も絶え絶えの
瀕死の白鳥のように
打ちのめされて 首をうなだれ
地の一点を見つめたまま
凍りつくしかない
せつなさよ
胸に巣食う病魔よ
容赦のないその横顔に
やさしい笑みが浮かぶ日はくるのか
▲
by murasakitsukumo
| 2005-06-23 19:39
| 詩
恋
目と目みつめあえば 苦しみから逃れられるのか
からだ触れあえば 思いは満たされるのか
深く言葉交わせば こころ落ち着くのか
きっとそうじゃない
わたしが求めるものは
求めれば求めるだけ遠のく何か
それは幻ではなく
確かにそこにあるもの
それはわたしを弄ぶかのように
つかみどころなく
それでいて
深海に潜む
朽ちたタイタニックのように
いまなお威厳を放ち
無限の重量を感じさせる何か
海の底に眠る 何者かの記憶
忘れられ 置き去りにされ
青く淡く光りつづける魂の涙
わたしのなかにそれを見つけ
ある人のなかにそれを探す
けれども
その姿すべてを二度とあらわすことのない何か
からだ触れあえば 思いは満たされるのか
深く言葉交わせば こころ落ち着くのか
きっとそうじゃない
わたしが求めるものは
求めれば求めるだけ遠のく何か
それは幻ではなく
確かにそこにあるもの
それはわたしを弄ぶかのように
つかみどころなく
それでいて
深海に潜む
朽ちたタイタニックのように
いまなお威厳を放ち
無限の重量を感じさせる何か
海の底に眠る 何者かの記憶
忘れられ 置き去りにされ
青く淡く光りつづける魂の涙
わたしのなかにそれを見つけ
ある人のなかにそれを探す
けれども
その姿すべてを二度とあらわすことのない何か
▲
by murasakitsukumo
| 2005-06-23 12:31
| 詩

L'ame aussi,si elle veut se reconnaitre, devra regarder une ame (Platon)
by murasakitsukumo
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