résumé 1970-2016

カテゴリ:詩( 99 )




月夜のふたり

わたしの立つ場所に
走り来る君
昨日も走り
今日も走り
わたしはただ黙って
走る君を見ている

あがった息は
もう落ち着いて
静寂に包まれる瞬間
白黒のグワッシュに
溶け込むような
月夜のふたり
青い顔した柱時計が
満ちた時を告げる

光の世界と闇の世界と
表裏を生きるふたり
太陽に向かって昇るとき
月に向かって降りてゆく
表の赤より裏の青を愛し
冷たい月に寄り添って
見上げる空には黒十字

天使の羽根が頬をかすめ
わたしの顔は俄に破れた
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by murasakitsukumo | 2005-11-24 03:48 |

結実

木枯らし吹いて
実がなった

小さな実は
何も言わない
小さいけれど
生まれる力を
静かに湛えて
厳しい季節を
これから迎える

小さな実は
何も問わない
小さいけれど
実のなかに
温かい芽を孕み
生まれ出る季節を
確実に予感する
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by murasakitsukumo | 2005-11-14 10:26 |

あゆみ

自信に満ち溢れてなどいない
臆病な足痕がポツリポツリと
わたしの背後に連なっている
迷いなく でも確信もない
小さな足跡が連なっている
踏み出す一歩は重いか軽いか
裸の足を下ろす先は氷か沼か
なんであれ あげた足は
下ろさなければならない
希望なんて言葉は忘れた
でもまた足をあげては下ろす
なぜなら
形のない何かを見ているから
身体の深くで何かを感じているから
たぶん何かには近づいているから
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by murasakitsukumo | 2005-11-10 02:56 |

黄昏

誰そ彼どきは
わたしの一部が
少しだけ壊れるとき
陽が沈み 意識の裏側から
ゆがんだ異次元が顔を出す

誰そ彼どきは
世界の均衡が
少しだけ崩れるとき
目には見えない遠くの国から
悲痛な叫び声が聴こえる

誰そ彼どきは
きみの一部が
少しだけ変わるとき
つくり笑顔の隙間から
ひとつの暗い仮面が姿を現わす

わたしも
世界も
きみも
いくたび死んでは生き返る
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by murasakitsukumo | 2005-11-02 10:53 |

追想

心臓をつかみながら聴いた
ヤナーチェクの「主題と変奏」
この曲を聴いて思い出す
過ぎた頃がもう懐かしい

闇を感じる勇気も
無謀な喜びも
儚い期待も
悲しい予感も
この美しいピアノに
全部溶け込ませて
ただ音のゆらぎの中に
のめるように身を預けた

過ぎた頃がもう懐かしい
それほどに 時は
長くは留まってくれない
決して褪せない想いとともに
過ぎた時の残照に
身を浸したくて
また今夜もこの曲を聴く
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by murasakitsukumo | 2005-10-27 02:05 |

共存

体内に埋もれていた
罪という名の塊が
コロンと
ふたつでてきた
からだの 脳みその
深いところに
住み着くこの塊は
あるときひょっこり
顔を出しては
わたしを
正面から見据える
忘れてないよ 大丈夫
そう言って
わたしは塊をしまう
塊も素直にそれに従い
体内の奥深くに隠れ
再びわたしを縛る
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by murasakitsukumo | 2005-10-27 01:38 |

La Fleur mystique

世に美しいこの花には
安らかに横たわる
生まれたばかりの
生娘の血が流れている
純潔は破れたるも
いまここで咲くために
神秘の花は眠っていた

過去に葬られた
幾人もの処女の亡霊は
堆く折り重なって
豊かな土壌を作った
真実を愛する者に
その姿を誇るため
いまここで愛でられんと
神秘の花を咲かせたf0068217_193717.jpg
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by murasakitsukumo | 2005-10-24 02:30 |

半身

真夜中に男が彷徨っている
享楽の光は溢れているのに
心の闇に支配されてしまった
ほんとうの真夜中に

わたしは駆け出して
男の姿を必死に追いかける
絶対に見失ってはならないと
半狂乱に追いかける

別の肉体と時を生きる男の
古びた記憶の中をわたしは走る
ただ走り ただ走り
銀色に燻る悲しみに出会う

立ち昇る有毒の煙は
いま此処にまで漂いきて
わたしの目からも
銀色の涙が零れ落ちる
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by murasakitsukumo | 2005-10-17 23:46 |

blank

封印されたはずの調べに乗って
立ち入ることの叶わない
孤独な記憶の断片が舞い散った
ささくれだった思い出が
鮮やかな色をともない
あなたの頭上に降る前に
ただ横に佇むわたしが
わけもなく吸いとってしまった

いとおしくいとおしく
聴こえてくるのは
薄闇に溶け出た情熱の調べ
閉ざされた部屋に訪れる
柔らかな薫風のように
まったく新しい色彩で
あなたとわたしを包みこむ
小望月のジムノペディ
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by murasakitsukumo | 2005-10-17 15:46 |

死神の夜

七日月が冥王星に近づく闇夜には
緋色の穢れが青白い涙で洗われる
剥き出しの身心はビリビリと
見えない世界の秘めやかな囁きに
呼応し 共に鳴き 戦慄しはじめる

  *

押し流され手招きする死神に
うつろな眼を投げかけ
力なく腕を伸ばしながら
世界の淵に麝香の誘惑を嗅ぐ
求めて得られぬ姿に狂喜して
木魂する闇の誘いに打ち震えるも
我呼ぶ悲痛な声を聞き戻りつ
眼の前に歪む愛しき人よ
死神にかわりて
我の息根を止め 臓の芯を留め
尖った爪で隠れた我の性を暴け
打ち勝ちて影の葬らるれば
傷と斑にまみれつつも帰りつき
やがて新し朝をまた生かされよう
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by murasakitsukumo | 2005-10-10 12:48 |

L'ame aussi,si elle veut se reconnaitre, devra regarder une ame (Platon)
by murasakitsukumo
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