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résumé 1970-2016

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sacrifice

怪物が真夜中に忍び寄り
牙を剥き 爪を立て
わたしの喉元を締め上げる
息苦しさに覚醒した意識の片隅で
怪物の姿をとらえながら
すすり泣くは恐ろしさのためではない
ようやく現前した昔年の影
悶え苦しんだ積念の化身
あるべきもののあるべき姿に
見開いた眼は歓びの赤い涙を流し
幾許かの哀愁と思慕とに
わたしのなかの怪物も
ゆっくり ゆっくりと目を醒ます
致命の傷を負おうとも
噛み付き合い 引っ掻き合い
一度肉に食い込んだ牙の痕は
永遠に消し去ることのできない
怪物の目印
次の永い眠りにつくまでは
陽を恐れながらともに彷徨うのだ
重く甘美な枷を引き摺りながら
破れた皮膚から黒い血を流しながら
救いのかけらもない阿鼻の地獄を
どこまでも ともに
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by murasakitsukumo | 2005-08-27 23:56 |

おのれ奥深く蝕むものの甘美さに
宵宵支配されるは痴れ痴れのことかは
麗しき蛇のふしどに噛み来たりし
白き領頸よりめぐりめぐる猛毒の
うちなる柔肌に染みゆきわたり
破壊せし美徳の仮面を
死に瀕してこそ知りぬ 
生溢るるを悦ばしき哉と
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by murasakitsukumo | 2005-08-24 03:06 |

孤独

紺の空に
茜の空に
漆黒の空に
見あげれば
いつもそこにある
まるで世界と
切り離されて
宙の始まりの前から
ずっと変わらぬ
老老とした微笑
賢人の囁き
わたしは見あげて
その眼差しを感じ
耳を澄まして
その声なき声を聞く
空の果て 無の横溢に
この身を浸して
わたしの在る場所を知る
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by murasakitsukumo | 2005-08-17 22:54 |

つきゆきはな

すれ違った夏の一日
年月流れて
ふたたび交差した雪のある日
予感に慄き
惹き合うまま見つめた花の春
めぐりめぐり
ともに杯傾ける二度目の夏の宵月

春暮れて 仲夏越え
清夏過ぎゆき 秋月を待つ
はつ秋に胸ふくらませ
四季のめぐりの愛しさに
ながめては涙する
折折に深まりゆく雪月花
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by murasakitsukumo | 2005-08-13 02:10 |

祈り

姿は見えねど
われ其処此処にあり
君の識間にすべりゆき
安らかなれと祈る魔の刻

昏睡し君の遊体は
われの繭に入り来りて
洗い清められし煩と悩
するりと出でて目醒むれば
苦も痛も夢幻なりと覚えたり

祈りいのりし
わが身残暑の風と変わり
塔の間戸より そよそよと
夢見の君に呼びかけるや
身を尽くし 秋恋しと
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by murasakitsukumo | 2005-08-11 01:09 |

parallelism

因果の呪縛を軽やかに乗り越えて
空中はるか飛んでいく想念の
化身は真言か幻か
そこに現れたものは確かに
ここに在る わたしの心のパタン
森奥深く彷徨い 古い城の鉄扉開け
見つけたわたしの原初の記憶

意味は意味を呼び醒まし
次なる不思議絵を織り成してゆく
夢と覚醒をまたぐ瑠璃の曼荼羅
内なるものと外なるものの対称性
聖と俗のように
キリストと悪魔のように
あなたとわたしに
時を同じくして生起するもの
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by murasakitsukumo | 2005-08-09 23:19 |

身勝手な欲望

いいよ
なんでも。どんなでも。
別に
こうあってほしい
なんて
思わない。
こうして欲しいこと
なんて
ない。
いま 逢えただけで
十分すぎる。

わたしはやっと
透明で
自分を投げ出して。
それを見ていてくれる
それだけで
十分すぎる。

なのに
わたしは
あなたを見ているだけじゃ
つまらなくて
奥に 奥に
入っていきたくなる。
奥に 奥に
どこまでも 奥に。
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by murasakitsukumo | 2005-08-06 02:05 |

向日葵と揚羽蝶

向日葵の朗らかさに憧れて
大輪に身を任せてみれば
たとえ一時の迷いだとしても
心安らかに羽を休められる
たとえ装いの朗らかさだとしても
そうと知りつつ宿りたいときもある
  *   *   *
小さな揚羽蝶は安堵して
向日葵の逞しさに頬を寄せた
そのとき見つけた
緑色の毒と鋭い棘のようなささくれは
揚羽蝶の故郷を思い出させた
  *   *   *
ある日 揚羽蝶は標本箱から飛び出したのだ
自由を手にした喜びに飛び回り
広い世界をその目に映じてみたが
どこにも休まる場所のないことを悟ったのだ
  *   *   *
疲れ果て 羽にほころびを感じたとき
向日葵の懐にようやく身を横たえた
外界の未知の歓びに陶酔し溺れて
自慢の羽の色艶は生き生きと甦った
この極みのさなか
揚羽蝶の胸の中心を銀色の細いピンが貫通した
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by murasakitsukumo | 2005-08-04 01:46 |

蝶夢

凍て蝶が雪解けの日を待ちわびて
やがて羽搏く夢の野に
吾が分身を見つけたり
無数の羽音 夢幻の如く
君を惑わし玉の泉へ誘いけり

胡蝶となりて君が心に融け込めば
いと冷たき氷塊に出逢いて
吾が鱗粉もて虹色に輝かせ
花蜜の川ぞ流るる

君が手中にありし羽の薄さに
飛ぶも飛ばぬも同じことなり
無残に握りつぶされしも
吾が捕らわれの身は歓びに慄きつ
光の断片となりて君が闇に舞い散らん
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by murasakitsukumo | 2005-08-04 00:34 |

L'ame aussi,si elle veut se reconnaitre, devra regarder une ame (Platon)
by murasakitsukumo
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