résumé 1970-2016

カテゴリ:詩( 99 )




ある日ソファで


 その腕にさわるとき
 わたしは感じる
 信頼に足るほどに
 いくつもの存在が此処に居り
 そして愛が介在することを

 愛は甘くなく
 愛は強靭だ
 やさしい面影には
 いつも乗り越えられた
 悲しみが見え隠れして
 裏返りそうな儚さを
 冷静に宥めている

 それを知らねばならない
 それを知らねばならない

 それほどまでに
 愛は甘くなく
 愛は強靭だ
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by murasakitsukumo | 2007-11-17 01:01 |

nervous system

いつまでも
時があると思わないで
考えてみて
一体いつ
時をつかんだことがある
全部折り込み済みなら
時に期待しないで
こちらから背を向けてやれ

脳が酸素不足で
肺は過呼吸を起こしている
目は見開いているけど
何も見てはいない
ただモノクロの
デイジーを浮かべている

いつまでも
時は味方してくれない
ハッピーアワーは
期限付き
何十年生きるとて
一年は三百六十五日しかないし
一日は二十四時間しかない
なら一瞬で灰になってやれ
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by murasakitsukumo | 2006-06-20 13:46 |

inverse

皮膚のぎりぎりのところで
溢れ出まいと悶えてる苦しみ
ちょっとナイフが掠ったら
あっという間に宙まで届きそう
光よりもずっと早く
そして私は萎んでしまうの
だからってこらえて見上げても
変な色してる 月が

 私が歪んでいるなら
 この人も あの人も そう
 ひょっとしたら もっと
 見知らぬ誰かだって
 そこで泣いている

皮膚のぎりぎりのところで
張り詰めてる生暖かいもの
ちょっとあなたが触れたら
とめどなく流れていきそう
あなたの血管の中へ
そして私は形がなくなるの
だから抱きしめようとしても
そのときはもう 無理ね

 私がおかしいのなら
 隣の人のつぶやきは
 通じない呪文 きっと
 私が話すことだって
 耳を塞がれている

月を咥えるオオカミや
扁桃を齧るピエロ
純粋を追っていったら
逆の駅に辿り着くだろう
あべこべの法則 でも
誰も笑うことはできないで
違う星の孤独を
ヒステリー気味に見てる
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by murasakitsukumo | 2006-06-17 10:37 |

beating

あなたが叫んでみろ
と言ったから
暗い谷まで降りてゆく
しばらくご無沙汰で
錆付いた錠前 でも
あっさりとわたしを許し
背後で扉が重く閉まる音がした
そこで出逢う賢者に
問うてみる いま
わたしは何に見えるか、と
川面に映るわたしの姿は
人間の形をしていなかった
見たことのない顔
尖った爪がやり場を求めて
空を切る 「無残だ」
誰かが叫んだ
バタつく手足を押さえ込み
死に物狂いの力を解き放つ
そのためにあなたはいるのか
失望は味わいたくない
希望は標識にならない
ただこの指が恐ろしい力で
掴もうとする何かを
この目で
見届けなければならない
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by murasakitsukumo | 2006-04-24 01:45 |

confession

愚かで憐れなわたしのために
確かな言葉をください
言葉に真実がやどり
そのまま明日になるように
愚かで憐れなわたしのために
言葉をください

あなたの足元にひれ伏すのは
心に巣食う不安からではありません
或る感情が身体をぐらぐらゆすぶって
立っていられなくなりました
それは愛などではないのでしょう
形の見えない罪がわたしを
どこまでも追いかけてきます

抜け殻のようなわたしのために
目覚めの言葉をください
言葉が鋭い爪になり
皮膚を裂いてくれるように
抜け殻のようなわたしのために
言葉をください
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by murasakitsukumo | 2006-04-17 01:03 |

喪失

どこにあるのかわからず
どこにもないように思われ
それは冷めた絶望だった
ないことを認めた幼い悟り
それはその時確かになく
それからもずっとないままだった
穴が開いてしまったのではなく
はじめから欠けていることに
気づくのはずっとあと
それでも魂の微かな光は
あるべき場所へと導いていく
汚れた爪を噛み続けたけれど

わたしの中に間違いなくあり
大人の目を騙しおおせた
それは悲しき欲望だった
裏返しにした拙い焦り
外に求めることはなく
ただ身内で燻ぶるだけだった
消してしまったのではなく
ずっと大切にしていたことに
気づくのはずっとあと
それでも立ち昇る芳香は
喪失したものへと導いていく
そしていまひとつになった
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by murasakitsukumo | 2006-04-07 01:37 |

epoche

本当のことは何も知らない
真実は何も知りえない
そう気づいてしまうとき
一瞬にして心が凍る
苔のように重く厚い
フィルターがかかる
わたしは叫びたくなる
なのに出てくるのは
ゆがんだ笑顔だけ
そしてすぐに冷笑する
誰にも知られないように

本当のことって何さ
真実なんて一つとは限らない
結局は何も知りえない
ただ感じるしかない
感じるのは自由でしょって
開き直りたいわけじゃない
わたしは喚きたいだけ
なのに白々しく
無理に微笑んでいる
そして馬鹿みたいに
鏡を割ってしまいたくなる

表からみても裏からみても
結局真実はたった一つだと
どこかで思ってる
それをむき出しにしたくて
知らずうちに拳固を握る
だけどわかってる
コーヒーの染みみたいに
タオルの血の跡は落ちない
それが現実だとわかっても
それが何か知ることはない
おまじないも効かないし
祈りも届かない
ただ自分のためだけに
不毛という字を書いている
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by murasakitsukumo | 2006-04-01 01:53 |

knot

草むしろが欲しい
粗末で荒い目の
草むしろ
それは関節を
刺激して
そこにあることを
知らしめる
私からずっと
離れていくこともない
乾いてそそけた
草むしろ
それは程よく鼻を
くすぐって
時の愛しさを
知らしめる
枯れ果てて
錯覚の忍び寄る隙もない
丈夫で固い
草むしろ
それは柔肌を
摩擦して
痛みの在り処を
知らしめる
私をずっと
殺してしまうこともない
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by murasakitsukumo | 2006-03-23 22:24 |

visit

そおっと息を吹きましょう
ありったけの美しいものを
美しいものだけを込めて
この数日だけは私の醜さに
麻酔を打っておきましょう
そうすれば珠色の息吹が
疲れた命に届きましょう
遠くの臥所に届きましょう

おなかに力を入れましょう
ありったけの強い意思を
お臍のずっと奥に固めて
ほおっておくと蠢きだす
汚い虫たちを殺しましょう
そうすれば奇蹟の心念が
涙の枕に飛んでいきましょう
伏した背中に飛んでいきましょう
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by murasakitsukumo | 2006-03-23 22:24 |

demon

そうだ、そこまでだ。
尖った角は引っ込んだ。
おまえは左へ 
わたしは右へ
思う方へ進むまで。
足並みを揃えてはならぬ。
手を取り笑いながら
不気味な屍を鏡にみつけて
いまさら気づいても
もう遅い。
詩を書く夜は忍び寄る
影もできないほどの暗闇に
目が慣れたなら字を記せ。
叫ばなくとも舌の無い
夜の黙はいっこうに
終わる気配のないものだ。
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by murasakitsukumo | 2006-03-21 02:11 |

L'ame aussi,si elle veut se reconnaitre, devra regarder une ame (Platon)
by murasakitsukumo
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